2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« 2007年10月21日 - 2007年10月27日 | トップページ | 2007年11月11日 - 2007年11月17日 »

2007年11月4日 - 2007年11月10日の記事

2007年11月 9日 (金)

cisgenesis と intragenesis

Cisgenesis, intragenesisというのは、あまり聞いたことがない用語だと思う。

オランダ、 ワーゲニンゲン大学のSchoutenらがtransgenicに対立する概念としてcisgenicと言う考え方を提唱している。

特に遺伝子組換え作物に関わる分野で使われ始めているようだが、意味は、従来から使われた来たself cloning (セルフクローニング), natural occurence(ナチュラルオカレンス)とほぼ同義。大雑把に言えば 「自然状態で遺伝子を交換するある生物種から他の生物種へのin vitroの技術による遺伝子導入(技術)のうち、プロモーター、 イントロン、ターミネータも本来の組合せであるもの。なおかつ外来遺伝子は含まない。」というところ。いわば、”植物の遺伝子治療”だ。

この技術で作成された植物は"Cisgenic plants"と呼ぶようだ。

提唱者は、プロモーターからターミネーターまで一体として自然な状態を維持しており、しかも種の壁をrespectするものなので、 その意味において遺伝子組換え技術とは根本的に異なるものであるから、Cisgenic plantsは、 実験や栽培において現行の遺伝子組換え生物に対する法規制の枠の外に置かれるべきであると主張している。

さて、この定義に従ったところで、実体論としてそれが実現可能かどうかは議論があるだろう。どうしたら選抜可能か? アグロバクテリウム由来のT-DNAはどう考える?etc.一連の技術革新が必要だろう。

一方で、そうまでして技術を開発し、国際・国内規制を改変したとして、はたして一般消費者はCisgenic plantsをGMOではないと認識するだろうか?たとえば、極端なことを言えば、Cisgenic plantsは栽培の条件さえ整えば、 Organicの認定を受けられるだろうか?

Cisgenic plantsの製造プロセスは、客観的に見ても遺伝子組換え技術そのものになるであろうし、 そうなるとハイテクで作られた食品は”何となく気持ちが悪い”と漠然と感じている消費者を理詰めで説得できるとは思えない。また、 種苗マーケットから大企業や政府、 科学者の影響を排斥したいと考えているOrganic指向のロハスな人々に対するインパクトも望めないだろう。

となると、cisgenesisで作った作物は、栽培と食品表示についての政府の規制は従来の作物並みだが、 可能な変異の拡大幅は従来育種のそれを超えられず、消費者の側からはGMOに見える、というものになるだろう。そうなると、 技術革新と規制緩和のためのロビー活動にエネルギーを注いだ割には、あまり報われない可哀想なものになるのではないか?

・・・ということで、私は、そんなに無理矢理に外来遺伝子を排除する技術を開発しなくても、 現行技術でよりよいGM作物を作った方が良いではないですか、と思ってしまう。

なお、私はCisgenic plantsは製造過程は遺伝子組換え技術に依存しているものなので、最終的にProduct baseの評価を行った結果、十分な科学的根拠があれば、Cisgenic plantsをGMOから除外することに積極的に賛成。しかし、 現行の技術では作成にアグロバクテリウムを使えばT-DNAが残る公算は高いし、ベクターごと(場合によってはベクターだけ) ゲノムに挿入される事もあり、transgenic plantsもできてしまうので、実験段階から規制の埒外という訳にはいかないだろう。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

 

2007年11月 7日 (水)

レタスなりの利点

組換えレタスのエントリーを”引用”していただいたので、ちょっとだけ続編。

# どちらかと言うと、観察対象として”引用”するのでなく、トラックバックしていただいた方が、地味に嬉しかったりする。

さて、Dr. Daniellらの採用したレタスは、水耕栽培など施設栽培だと3週間程度で収穫できるという。組換えバクテリアにはかなわないが、サイクルが早いのがメリット。また、光もイネほどは要らない。

一方、イネだと施設栽培でも良くて年3作期。1サイクル3-4ヶ月(90-120日)はかかる。作期 x 単位面積あたりの組換えタンパク収量ではイネの方がレタスよりも多いが、少量でも良ければ20日程度で収穫できるレタスにもそれなりの利点はある。バクテリアにはかなわないが、ほぼオンデマンドで生産できる利点は大きい。

また、タンパク収率を考えると、イネのように炭水化物をためない方が良い事もある。フリーズドライでカプセルに入れれば非加熱で食べられる。デンプンが含まれている種子の場合は、どうしても加熱してデンプンを糊化しておかないと、生デンプン自体で消化不良をおこす。

私はレタスについては全くの素人なのだが、採種のことを考えると、レタスは虫媒花だが虫なしで自殖できるのか?抽台するには低温刺激が要るのではないか?など、ライフサイクルを施設栽培で完結させるには不利な性質もあるように思う。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2007年11月 5日 (月)

「GMレタスは糖尿病患者を救うか? -インスリンのマウス経口投与実験」と言う記事

11/5の日経バイオテクノロジーのネタから。

ライターは宗谷 敏さん。題材は、University of Central FloridaのDr. Henry Danielの研究。

彼らの仕事は、医療用(あるいは健康機能性)を指向した遺伝子組換え作物の開発と言う意味で、 私たちのチームと分野を同じくしているので関心はある。

さて、11/2にアメリカで夕方のニュースでテレビ放送されたことで、 この仕事が注目されることになったらしい。が、もともと大学のプレスリーリースは6/30なので、 忘れた頃に掘り出してニュースにしてみたら世間の反響が大きくてビックリ、というところだろうか。Plant Biotechnology Jounalの論文の発表はこちら。 これも5/9にオンラインで公表されている。

ニュースのあらましは次の通り。

インスリン依存性1型糖尿病のマウスの経口投与治療実験にGMレタスで成功。 糖尿病マウスにヒトインスリンを蓄積する組換えレタスを与えたところ自己免疫障害が治癒し、 マウスは正常にインスリンを分泌するようになった。

教授はこのGMレタスには糖尿病予防効果はなく、より安価な治療に役立つのみだと言っている。研究結果はPlant Biotechnology誌に掲載されただけで、医学系ジャーナルには発表されていない。

医療関係者のうち糖尿病の専門医はこの事態を次のように見ている。 米国ピッツバーグ小児病院で糖尿病研究を30年間続けてきたMassimo Trucco博士が記事中で、 Daniel教授の研究のいく分か、糖尿病患者に対する治療効果は信じられるものだと回答している。

しかし、Trucco博士や多くの医学者はDaniel教授が採用したカプセルによる経口投与法を疑問視している。 どのような形のインスリンであっても、消化されてしまうため胃から血液へは移動できないのではないかという問題である。

Daniel教授は、今年8月、フリーズドライしたGMタバコをマウスに経口投与する実験に成功しており、 植物細胞壁がインスリンを守り、胃を通過して無事に腸管にまで届くと説明している。インスリンは腸から吸収されるというのだ。 医薬品としては、当然ながらこの確率・信頼性が先ず問われるところだろう。

さて、幾分ちぐはぐな所のある記事だ。私は、アメリカのテレビ放送の構成によって引き起こされた問題だと思っている。 おかしな点は以下の通り。

  1. 「このGMレタスには糖尿病予防効果はなく、より安価な治療に役立つのみだと言っている。」
  2. 「Daniel教授が採用したカプセルによる経口投与法を疑問視している。どのような形のインスリンであっても、 消化されてしまうため胃から血液へは移動できないのではないかという問題」
  3. 「インスリンは腸から吸収されるというのだ。」

ニュース冒頭で、”1型糖尿病であって、自己免疫障害だ”としていているのだから、このニュースの編集者は、 この1型糖尿病は自己免疫疾患の一種であることと、治療のメカニズムが免疫寛容によるものである事を理解しているのではないかと推定される。

一方で、おかしな点その1.、教授は「このGMレタスには糖尿病予防効果はなく、より安価な治療に役立つのみだと言っている」。 しかし、このレタスに自己免疫疾患の治療薬としての作用があるのであれば、インスリンに対する特異的T細胞を抑制するので、 おそらく予防効果もあるはずだが?

次、おかしな点その2.。そもそも、どんなペプチドも胃から血液には移動しないはずだ。オリジナルの論文を読めば明らかなように、 免疫寛容を意図したインスリンの投与では、注射薬のように完全な状態のインスリンが血液に入る必要はない。 腸管で樹状細胞に取り込まれれば良いのだし、仮に分解しない状態で樹状細胞に取り込まれても、免疫寛容を引き起こす為には、 細胞内で分解されなくてはならないので、活性にあるインスリンとしては機能しない。

しかも、オリジナルの論文を読めば明らかなように、レタスの細胞内に蓄積されるのは、インスリンそのものではなく、 その前駆物質であるプロインスリンだ。これは分泌細胞内で分解を受けて活性型になる以前の物質で、注射してもインスリンとしては作用しない。 コメントした糖尿病の専門医は十分な情報を与えられずにコメントをとられたのだろう。気の毒に。

そして、その3.たしかに腸から吸収されるのだが、その2.でも書いたように、その物質はインスリンではない。この書きぶりは、 注射薬のインスリン同様、インスリンを腸から吸収させることを期待しているようだ。しかし、ちょっと考えればわかると思うが、 インスリンは投与量を間違えると、ショック症状を起こし、悪くすると死に至る。ドーズの調節が非常に重要だ。 植物体内で作らせたタンパク質は細胞壁で保護されるとはいえ、なりゆきで消化液に適当に分解されながら腸管から吸収される。従って、 腸管からの吸収量の厳密なコントロールは不可能だ。このデリバリーシステムは、 量のコントロールのシビアな注射薬と同じメカニズムで作用させるインスリンの投与には向いていない。

おかしな報道をされたが、研究の内容の方は若干、"んー、どうかな"と言う点はあるものの(マウスに免疫寛容を起こさせるのに、 使ったのはヒトのプロインスリンだよね。大丈夫かい?)、概ねまっとうだ。

ただ、私たちのグループでは、元々タンパク質を貯蔵する組織である種子に外来のタンパク質を貯蔵させているが、彼らは、 レタスという葉物を材料にしている。葉物で細胞あたりのタンパク質の蓄積量を高くするには、液胞で分解されないように、 それなりのトリックが必要だ。そのための葉緑体形質転換なのだが、パーティクルガンを使った遺伝子導入は、 ベクターのバックボーンも入ってしまうだろうから、できるだけ余計なものは含まないという医薬品の考え方にはそぐわない。また、葉物の場合、 個体内での個葉の成熟の度合いが様々なので、タンパク質の蓄積量のコントロールも難しいだろう。いずれ、 彼らも医薬品としての品質管理の問題に直面する事になるだろうが、レタスを選んだことで、潜在的なリスクを抱えてしまっている。 本当に大変なのはこれからですよ・・・CTB(コレラ毒素Bサブユニット)も使っちゃってるし。いずれ、 彼らはUSDAやFDAと戦うことになるかもしれない。

 

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

 

 

2007年11月 4日 (日)

”なかのひと”の年齢推計

先週の水曜日から風邪(?)でダウンしてしまった。・・・とはいえ、頭がぼーっとしているだけで、 おそらく外見上は異常がなかっただろうと思う。

だるい、のどが痛い、耳下腺がはれる、右わき腹のリンパ節も腫れる、セキが出る、緑色の濃い痰が出る、 若干の悪寒と関節痛があるetc.と言う症状。熱は無いので、インフルエンザでは無いだろう。

こういう場合は、病院に行っても、大抵のどの奥を見て「咽頭炎ですね。抗生物質を出しておきましょう。」といって、 効き目のおとなしいマクロライド系抗生物質をを処方してもらっておしまいである。のどが痛くて腫れているんだから、 医者に言われなくったって咽頭炎だと言うことくらいは私にも分かる。結局、薬を飲んで寝てるしかない、 ということになるので病院には行っていない。

緑色の痰が出てると、緑膿菌の二次感染(緑膿菌は日和見感染菌なので、最初からこいつらが主犯ということはまず無いだろう。 私はそれほど高齢でも無いし、そんなに体力が弱っていないので・・・。なので、 時期的に見ても最初はライノウイルスか何かそんなもんの感染でしょう)が疑われる。そこで、マクロライド系抗生物質なんでしょうかね。 Googleで"緑膿菌 マクロライド系"で調べると面白いことが分かる。

"マクロライド系抗生物質が緑膿菌自体には抗菌作用を持たないにも係わらず臨床効果が認められていました。 それはマクロライドを構成する糖鎖配列により、バイオフィルムを破壊、消失するためであることが解明されました。"

・・・とか。原理はさておき、臨床的には効くものは効く、ということもあるんですね。また、

"この系の薬剤は抗菌作用に加えて、 IL-8抑制→好中球抑制、ICAM-1抑制→ウイルス、好酸球も抑制、MUC5抑制→ムチン合成抑制→痰の分解、上皮細胞や腺細胞の Clイオン輸送を抑制→鼻水抑制、モチリンレセプターに結合→モチリンアゴニスト→消化管蠕動運動促進作用、バイオフィルム形成抑制 (緑膿菌)→抗炎症作用など様々な作用を持つ。 "

・・・とか。これは抗生物質なんですが、それ自体、抗炎症作用もあるし、痰も切れるという風邪には重宝な薬ですね。ああ、 医者に行っときゃ良かったかな。とはいえ、だるいのと、関節痛だけとりあえず何とかしたいので、アスピリンを飲んでごまかすことにした。

定番の「バファリン」ではなく「バッサニン」・・・声に出して読んでみるとよく似た響きのジェネリックが買ってある。成分はどうせ、 アセチルサリチル酸とpH緩衝剤なので、安い方を愛用している。あとは良く寝るだけ。 あんまり効かない上に高い総合感冒薬よりははるかにまし。

---

さて、風邪談義はおいておいて、表題の件。

このブログでも、Webページにアクセスしたサイトの解析をする「なかのひと」というツールを使っている。 アクセスした方の所属組織のマッピングをするのと、アクセスした人の年齢階層、性別を推計する機能がついている。使ってみたが、 あいにくサンプル数が少ないとかで、性別分布は出力されなかった(おそらく、 アクセスのあったサイトが理系の職場に偏っているので男性の割合が非常に高いのではないかと想像するが)。推計年齢の分布は以下の通り。

なかのひと

50歳と20歳にピークのあるニ頂分布。

このブログは、あまりためになることが書いていないにもかかわらず、キーワードに惹かれてか、官公庁や大学・ 研究所からのアクセスが圧倒的に多い。しかも、理系の人の多い職場から平日にアクセスされている割合が非常に高い(なにせ、 週末になると平日の1/2-1/3程度のアクセスしかない)。なので、この年齢構成は、学生さんと教授という感じに見えなくも無い。この” なかのひと”のサービスを使っている他のユーザーの声によると、推計アルゴリズムは分からないにもかかわらず、 けっこう的中しているらしいので、このブログの実際の読者層もこんな感じなのかもしれないが、研究者のアウトリーチと言う意味では、 もっと若い年代の人々に読んでいただける様にしたほうが良いのかな。少なくとも、ニ頂分布のピークの高さが逆転する位の方がうれしい。

しかし、50歳が読者層のピークのブログって一体どんな内容なんだ→自分、と突っ込みを入れたくなってしまう。

今後の展開としては、あらたな読者層を開拓すべくこれまでに無いキーワードを並べてみようかな。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

« 2007年10月21日 - 2007年10月27日 | トップページ | 2007年11月11日 - 2007年11月17日 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ