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2007年7月1日 - 2007年7月7日の記事

2007年7月 7日 (土)

グリンピースがまた妙なことを言い出した?

まずはこの7月4日付の恥ずかしいプレスリリースを見てやってほしい。

遺伝子組み換えトウモロコシMON863の即刻回収を!
--グリーンピース食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省に要求

http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20070704_html

以下、私なりにこのプレスリリースの事実関係を解読する。(赤文字の部分は、私から見て事実誤認があると考えられたため、勝手に修正しています。

米国大手農薬会社モンサント社の開発による遺伝子組換え殺虫性トウモロコシMON863は、今年3月、フランス・ カン大学などの専門家チームの研究により毒性の兆候が否定できないとされ、 その研究論文が米国専門誌( Archives of Environmental Contamination and Toxicology )に発表された

論文では、モンサント社の行ったラットを使った実験の結果を再解析するとMON863は肝臓と腎臓への毒性作用の可能性があることが否定できないとしている

日本の食品安全委員会はこの研究論文に対し、 第47回遺伝子組換え食品等専門調査会(2007年4月16日)検討を行い、引き続き審議を行なうとしている。日本では、MON863は2002年食品と飼料への使用が認可されている。したがって、 MON863が現在流通している食品に使用されている可能性もある。

なお、MON863の安全性については、 欧州食品安全委員会の専門家委員会がモンサント社の行ったラットを使った実験の結果を再評価した2007年6月28日付公表の報告書があり、 何ら問題ないとしている。また、上記のフランス・カン大学などの専門家チームの論文については、統計の専門家によって再評価されており、 論文で行った統計的検定の前提条件は不適切であり、適切な手法で検定した場合よりも統計的な有意差が出やすいと報告されている

現時点では、グリーンピースがMON863の回収要請の科学的根拠としている論文については、 欧州食品安全委員会から解析手法が不適切であるとされており、 日本でも2002年に行われた食品安全委員会の適正なリスク評価の結果MON863は特に問題ないとされており、 現在流通して食品に使用されていたとしても、何ら問題はない。仮に、 MON863を回収するべきであるとしたら、 それは食品安全委員会で上記の論文を再評価し、 MON863の安全性に問題があると判断された場合のみである。

次に、

グリーンピース・ジャパン遺伝子組み換え問題担当の棚橋さちよは語り、「現行の安全性評価を早急に見直し、 長期間の摂取を含めた安全性の審査が確立するまで、すべての遺伝子組換え食品に対する認可の停止をすべきである」と訴える。

さて、日本の食糧自給率はカロリーベースで約40%である。自給率の低いトウモロコシや大豆は95%以上を輸入に頼っている。

  • 現行の安全性評価に問題があって
  • なおかつすべての遺伝子組換え食品に対する認可を停止する

としたらどうなるか?たとえば大豆を例に取ると

  1. 流通している大豆の96%は輸入大豆だ。
  2. そのうちアメリカから輸入されてくる大豆は、全輸入量の80%を占める。
  3. アメリカで作付けされている大豆の90%は遺伝子組換え大豆だ。
  4. 従って0.96 x 0.8 x 0.9 →国内で流通している大豆の70%位は遺伝子組換え大豆だ。

政府がこの流通を禁止したら、不足分(概ね290万トン)を非遺伝子組換え大豆で調達できる見通しはないので、 間違いなく社会的な混乱が起きる。もっとも味噌、豆腐などの食品用に使用される大豆は100万トンほどで、分別流通されており、 無分別の大豆は主に食用油用にふりむけられる。

トウモロコシについても、アメリカから輸入されているものは家畜飼料にも使われているが、仮にそれまで止めると、 農家も巻き込んだ大混乱が起こるだろう。彼らは、そこまで考えて発言しているのだろうか?

仮にそうなってもグリーンピース・ジャパンは、当然のことながら一切責任を取ることはないし、その能力もない。

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2007年7月 4日 (水)

遺伝子組換えトウモロコシ MON 863のラット90日給餌試験に関する統計分析の再評価

もとネタはuneyamaさんの食品安全情報blogと、日経バイオテクのFoodScienceの宗谷 敏さんの記事。

私は仕事の関係で、遺伝子組換え作物の動物を使った毒性試験に深い関心を持っている。そこに、前回のエントリーで書いた論文を見てしまったものだから、少々頭に来ているところ。

 関連情報を探してみると、4月16日の内閣府食品安全委員会の遺伝子組換え食品等専門調査会の議事録(pdf)でも、この論文のことが取り上げられている。もっとも、論文で採用された統計手法の妥当性については疑問があるが、今後専門家の判断を仰ぎましょう、と言う扱いであった。そのうち、日本でもこの論文の再評価が行われることになるのだろう。

 一方、そうこうしているうち欧州食品安全機関(European Food Safety Authority=EFSA)から、前回のエントリーで書いた論文の統計手法についての再評価が6月28日に公表されたことを、 FoodScience食品安全情報blogで知った。そこで、FESAのreviewの要約を読んでみることにした。

※ ここで、すごいなーと思うのは、FESAの評価結果に対して疑念を呈する論文が公表されるなりEuropean Commissionの諮問に応じて、徹底的にreviewして放置してはおかないというFESAの姿勢である。その姿勢に、 EUの食品安全に関わる専門家集団としてのプライドを見たような気がする。報告書の分量も多く結構な作業量なので、わざわざそこまでやろうと言う姿勢には脱帽する。

 要約では、Seralini et al. (2007)は、同一個体の体重の連続した週次の測定値間の経時的自己相関を説明していない。さらに、群間の体重の平均値のカーブの検定を目指しているが、この方法では群内のラットの個体ごとの体重のばらつきを説明していない。・・・など検定結果に擬陽性が出やすい理由を列挙している。

 おそらく、標準的でない解析方法の欠点の列挙にあまりつっこんで詳細を読んでも、私にもきっと理解できないでしょう。一方、 EFSAは自身の手でモンサントのデータを再解析しており、その手法を自ら"modern sophisticaed statistical methodology, capable of detecting even small differences."と評しています。(one-way ANOVA and linear mixed model approach, 一元分散分析と混合線型モデルですが・・・。)

# これはいい!拝借しよう。

 その解析の結果、結局、処理区間の体重に有意差はない、量的な効果もない、投与量と他の要因との相互作用もない、 12週目の雄の体重を除いてGMとコントロールの差は無作為な偏差と一致する等。結局、統計的にこれといった有意差は出ないとのこと。

 このほか、生化学的指標や尿検査、組織病理、器官重量についてもcriticalに検証しています。こちらは統計的な有意差があれば、その裏付けとしなる生物学的な有意な違いについても評価すべし、というEFSAの原則的な方針を強調しています。

 結局、この点ついてSeralini et al. (2007)は、以前のEFSAのGM panelの評価やモンサントの申請書中の報告と変わりないとのこと。

---

 結局は大山鳴動鼠一匹。 さて、EFSAの大部な報告書を余所に、我が国の食品安全委員会の専門調査会はどのようなユニークな検証、あるいは再解析を見せてくれるだろうか? 一種楽しみである。

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