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2007年4月10日 (火)

「私は○○に反対です。○○を止めてください。」という要求。

 気がつけば、2月、3月とblogの更新をさぼってしまいました。引っ越しやら何やらで、単に忙しかっただけです。

 さて、気を取り直して、今日は「○○」を規制することについて考えてみましょう。


 世の中で行われている人為的な出来事は何事であれ、メリット・デメリットのバランスで評価されている。しかし、時に「私は○○に反対です。○○を止めてください。」という要求を突きつけてくる方々がおられます。

 ○○がどのようにいけないのかが明らかに示されており、それが規制されるべきものであれば立法措置などで規制するのが適切でしょう。しかし、さらに踏み込んで「私は○○に不安を抱いています。○○を止めてください。」という要求を突きつけてくる方々がおられます。これは具体的な危害が明らかで無いにもかかわらず規制を求めるという態度です。このような要求をされる方の中でも、冷静な態度をとる方は「予防原則に照らして・・・」と仰ることが多いようです。

 予防原則(Precautionary Principle)とは、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする考え方のことを指しますが、確固とした定義はないため使われる文脈によって様々な解釈があります。

 ですので、疑わしいものはとりあえず禁止、という色彩が強いために、規制のルールとして適用する場合には、本当に「人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある」場合にしか使うべきではありません。

 たとえば、新規化学物質の場合、これまで知られている化学物質について切な規制を行ってこなかったために人的被害が及んだことがある歴史的事実をふまえて、未知の物質については予防的に規制するルールはあります。しかし、同時に一時的に規制はするものの、新規化学物質はそもそも人類にとって有用な利用価値の高い物質として開発されてくる訳ですから、利用側面に照らしたリスク評価も同時に行うことになります。その上で、適切な使用のためのルールを策定し、予防的な規制の対象から外して、賢く利用していくというのが普通のやり方です。もっとも、製造業の副産物として新規化学物質ができてしまい、どうにもこうにも利用法がない場合はこの限りではありませんが。

 これを、○○の規制に当てはめるならば、まず予防原則に照らして全面的に禁止した場合、何が起こるかを想定します。たとえ次のような想定をしてみましょう。

 我が国は○○を大量に輸入している世界でも有数の消費国です。○○に代替できるほどの量の××は、国内生産でまかまうことは現実的にはできませんので、○○に代わる高価な××を輸入せざるを得ません。そうすると、現在、 ○○を原料として安価な製品を供給している農業も含む産業界は○○と××の差額で生じる生産コストを消費者に転嫁しないと経営が厳しくなります。そうすると○○を原料とした製品の価格が上がりますので、その分を私たち消費者が負担することになります。

 また、○○を政府が禁止するとなると、これが不正に輸入されたり、流通したりしないように国民の安全・安心を保証するために、官庁が規制に当たります。流通する××に○○が紛れ込んでいないかを税関などの水際や流通過程で検査するための検査官を配置したり、民間の事業者に検査を委託したりします。そうすると、規制が新しいビジネスを生む機会になりは得ますが、新しい行政コストが発生します。たとえば検査官100人体制として公務員の平均給与(約630万円)から算定すると、人件費だけで毎年6億3千万円かかります。検査技術にもよりますが、機器の設備費、維持管理費、ランニングコスト等を勘案すると一体いくらかかるかかるか・・・。

 というわけで、すでに社会的に浸透している○○を禁止するにあたっては、明示的なメリットとしてそれなりの合理性が示せ無いと、何でも規制するというのは難しいのです。

 それと同時に、今度は○○の有用性が認められる場合には、○○の流通を認めるリール作りが始まります。まず、所管する官庁を決め、専門家を集めて委員会を作って大臣が諮問し、答申を踏まえて官庁が規制ルールのたたき台を作り、国会で規制法案をを揉んでたたいて立法化し、政令・省令・告示・通知などで肉づけして一丁上がり。あとは、○○が規制ルールに従って流通しているか監督官庁の職員が目を光らすという、禁止の際よりは若干緩やかなルールで運用されることになりますが、この場合も相当の行政コストを覚悟する必要があります。

 さて、○○に、あなたの気にくわないものを代入してみてください。携帯電話でも、自動車でも、覚せい剤でも、タバコでも、 PLCでも、遺伝子組み換え食品でも。そしてメリット・デメリットを秤にかけて考えてみましょう。それが「小さな政府」に見合うかどうか。

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