2020年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« 2005年5月 | トップページ | 2005年7月 »

2005年6月の記事

2005年6月27日 (月)

ナチュラルオカレンスとセルフクローニングを巡る議論2

TX開通60日前は土曜日だったのか。写真を撮りそこなった。

それはさておき、ナチュラルオカレンスとセルフクローニングを巡る議論のその2へ行ってみたい。

通常のクローニング、というと私の場合まず思い浮かべるのは、DNA断片をプラスミドにつないで大腸菌に導入する、 という手順で行われる一連の操作である。この点、あまり異論は無いと思う。要は遺伝子組換え技術の一種だ。この、「通常のクローニング」 とナチュラルオカレンス、セルフクローニングの関係を図示するとおそらく次のようになる。あらかじめ言っておくと、 これは法令上の関係ではなく、同一の製造工程で作成される組換え生物の種類の範囲を指していると考えてほしい。

1.「通常のクローニング」 > 2.ナチュラルオカレンス > 3.セルフクローニング

1.の例はたとえばpUC系の発現ベクターにクラゲの蛍光タンパク質をつないで大腸菌BL21株で発現させるというもの。2. の例はたとえばpUC系の発現ベクターに赤痢菌(Shigella)の毒素遺伝子をつないで大腸菌BL21株で発現させるというものや、 種類の異なるインフルエンザウイルスを共感染させて組換え型の株(assortant)を取る実験。3.の例は、 大腸菌O157のベロ毒素遺伝子に突然変異を導入して毒性を強化する実験が該当する。

ナチュラルオカレンスについては前回も触れたので簡単に述べると、 自然界で発生することが知られている変異を人為的に作成することである。今回はじめて触れるセルフクローニングは、宿主- 核酸供与体の範囲がいっそう狭く、その組合せは同種に限られる。お分かりのように、 技術のカバーする範囲とその技術に伴うリスクは並行関係にはない。 セルフクローニングやナチュラルオカレンスが特に安全であることにはならない。

ウイルスの分子生物学におけるリバースジェネテイックスの応用例に見られるように、 遺伝子組換え技術は自然界にある超えがたい障壁を克服するのに有効なだけでなく、 すでに自然界に存在するとしても著しく入手が難しい遺伝子型の生物を容易に手にするのにも非常に有効である。そういう意味では、 ウイルス研究のある分野では遺伝子組換え技術を駆使して、ナチュラルオカレンスにあたる組換え生物を非常によく作っている。 研究者の常として規制を嫌うのはありがちな傾向であるが、 リスクの大きな研究が遺伝子組換えではないとしてリスク評価の俎上に上がらない事自体が潜在的なリスクであるといわざるを得ない。

仮にナチュラルオカレンスとして遺伝子組換え生物でないとされたウイルスが実験室から漏出してバイオハザードを引き起こした場合、 どこの官庁が事態の収拾と原因究明にあたるのか?ナチュラルオカレンスなので仕方が無い、という説明に国民が納得するだろうか? 私はそのような納得はしてもらえないと思う。

前回も触れたがカルタヘナ法の下では、著しく不適切な使用以外は何も禁止されていない。 あるのはルール化されたリスクマネージメントと、それ以外の場合の規制当局の確認のみである。ナチュラルオカレンスだからといって、 無限責任の状況下で研究するよりも、国が設定したリスクマネージメントに従っていますと言ったほうが気は楽になると思うのだがどうだろうか?

2005年6月24日 (金)

ナチュラルオカレンスとセルフクローニングを巡る議論

カルタヘナ法施行以前からナチュラル・オカレンス(natural occurrence)とセルフ・クローニング(self cloning)は遺伝子組換え技術の例外として扱われてきた。

たとえば、組換えDNA実験指針(平成14年1月31日文部科学省告示第5号)では、

2 「組換えDNA 実験」とは、次のいずれかに該当する実験をいう (自然界に存在する生細胞と同等の遺伝子構成を有する生細胞を作製する実験及びこれを用いる実験を除く。)。

とされており”細胞”については、ナチュラル・オカレンスを除外している (ただし、ウイルスは当時生物として考慮されていなかったのでこの限りではない)。

生物多様性条約(CBD) カルタヘナ議定書においてはナチュラルオカレンスとセルフクローニングの産物を遺伝子組換え生物から除外する明示的な規定はない。しかし、 「科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会 試験研究における組換え生物の取扱いに関する小委員会(第3回)(平成14年3月13日)」 では以下の文言を巡る解釈について 議論が行われている。(結論は事務局見解に対抗するものではなく、従来からの考え方に従うとされている。)

(i) "Modern biotechnology" means the application of:

a. In vitro nucleic acid techniques, including recombinant deoxyribonucleic acid (DNA) and direct injection of nucleic acid into cells or organelles, or

b. Fusion of cells beyond the taxonomic family,

that overcome natural physiological reproductive or recombination barriers and that are not techniques used in traditional breeding and selection;

これは"that overcome natural physiological reproductive or recombination barriers "がb.のみにかかるのか、a.b.ともにかかるのか、という解釈の問題である。 この文ではthatの前で改行されているので、a.b.ともにthat以下によって説明されているので、a.もまた 「自然の生殖や組換えの障壁を克服する、in vitroの技術」によって修飾され、議定書の対象であることがわかる。

つまり、自然に起こること(natural occurence)はカルタヘナ議定書では扱わないことになる。 事務局によれば、これが従来からの考え方に一致する見解であるようだ。

一方、カルタヘナ法本体ではナチュラル・オカレンスとセルフ・クローニングの除外を規定しておらず、 法施行規則において次のように定義して除外している。

第二条 法 第二条第二項第一号の主務省令で定める技術は、細胞、ウイルス又はウイロイドに核酸を移入して当該核酸を移転させ、 又は複製させることを目的として細胞外において核酸を加工する技術であって、次に掲げるもの以外のものとする。
 一 細胞に移入する核酸として、次に掲げるもののみを用いて加工する技術
イ 当該細胞が由来する生物と同一の分類学上の種に属する生物の核酸
ロ 自然条件において当該細胞が由来する生物の属する分類学上の種との間で核酸を交換する種に属する生物の核酸
 二 ウイルス又はウイロイドに移入する核酸として、 自然条件において当該ウイルス又はウイロイドとの間で核酸を交換するウイルス又はウイロイドの核酸のみを用いて加工する技術

このうち、ナチュラルオカレンスにあたるものは、第二条第一号ロと同ニ、 セルフクローニングにあたるものは第二条第一号イと同二が該当すると考えられる。ただし、この解釈は従来の実験指針が適用の対象を” 細胞”に限定していたのと比較すると、新たにウイルスにも明示的にナチュラル・オカレンスとセルフ・ クローニングの概念を適用している点で概念の拡張があるといえる。

ただし、バクテリアとウイルスでは変異の生起機構も頻度も、 後述する遺伝子の水平伝播の機構も異なるのでこれを一緒にするのは大きな危険を伴う。

なお、文部科学省においては、研究二種省令制定の際のQ&Aで次のように述べている。

 ナチュラルオカレンスについては、施行規則第2条の規定により除外さ
れています。ナチュラルオカレンスの具体例については、指針運用の経
験を踏まえつつ、必要に応じ、ホームページ等により明らかにする考えです。

とはいえ、文部科学省は今日にいたるまで考えを明らかにしていない。また、施行規則は6省共管なので、 その部分の解釈について文部科学省単独で解釈を述べることもできない。できたとして、研究開発分野における遺伝子組換え生物の考え方として、 「何が除外されるか」という施行規則に沿った議論ではなく「何が遺伝子組換え生物に含まれるか」 という視点で整理することならば可能かもしれない。

生物種間の核酸の交換には、交配のように生物の通常のライフサイクルの期間に行われるものから、 微生物のゲノムシーケンスで痕跡として発見される程度の数百万年に一度程度のイベントまで、様々なものがある。これを一くくりにして、 「自然条件において当該細胞が由来する生物の属する分類学上の種との間で核酸を交換する」のでナチュラルオカレンスであるというのは、 いささか乱暴な議論である様に思う。

そもそも、カルタヘナ議定書の目的は、

現代のバイオテクノロジーにより改変された生物であって生物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響 (人の健康に対する危険も考慮したもの)を及ぼす可能性のあるものの安全な移送、 取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保することに寄与することを目的とする。

であり、カルタヘナ法はその担保法であることから、「現代のバイオテクノロジーにより改変された生物」であって 「悪影響(人の健康に対する危険も考慮したもの)を及ぼす可能性のあるもの」については、 原則的に規制の対象であると考えるのが妥当であろう。規制とは言え、カルタヘナ法には罰則はあるものの、 これに基づく二種省令はリスクマネージメントの手順を定めた法令であって完全に実施を「禁止」 されている行為は著しく不適切な使用を除いてほとんどない。

従って、病原体等に由来する遺伝子組換え生物の使用を対象とする研究二種省令においては、 あらゆる遺伝子組換え生物の使用が原則として規制の対象であり、カルタヘナ議定書で言う「自然界における交配や組換えの障壁」 が全くない場合を一部例外として考えるのが妥当ではないだろうか。リスクがあるところには適切なリスクマネージメントが必要である。

バクテリアにおける遺伝子の水平伝播(Horizontal gene transfer) の問題については、近年多種類のバクテリアのゲノム解析が進むにつれて、非常に多くの種間での水平移動が確認されており、 この方面の知見の集積は今後ますます増えていくと考えられる。もしかするとバクテリアの分類体系を見直さざるを得ないかもしれない。 その一方で、これは私自身まだ十分に確認していないのだが、 バクテリアの共存培養によって遺伝子を水平移動させたという研究は寡聞にして知らない。 ナチュラルオカレンスとして規制対象から除外可能な宿主・核酸供与体の組合せがあるならば、 それは実験室レベルで人為的に水平移動させることのできる組合せと考えるべきではないだろうか?

2005年6月 7日 (火)

ハマウツボ?いや、ヤセウツボ

CIMG0500  つくばセンター近くの赤松の根方に群生しているハマウツボらしき植物。 たいていはもっと濃い紫色の花色なのだが、この周辺に生えていたものは皆淡いピンク色だった。古いからかな? それに花穂の密度も低いので他の植物かもしれない。いずれにしても、 おそらくは赤松の根方の砂と一緒にどこからか運ばれてきたのかもしれない・・・とおもったら、これはヤセウツボというらしい。 なんだかNHKの大河ドラマに出てくる上戸彩みたいだが。

 ヤセウツボはハマウツボ科ハマウツボ属の寄生植物で学名はOrobanche minor 。シロツメクサなどマメ科牧草の根に寄生する”侵入種”で国立環境研究所のホームページでも紹介されている困り者である。一方、ハマウツボは環境省のレッドリストには載っていないものの北海道、福島県、高知県では絶滅種あるいは絶滅危惧種に指定されているとのこと。

 寄生植物は形態や生態が特異なことも手伝って、他のどの植物と近縁なのか推定しがたいことも多々ある。ハマウツボの場合もそれで独立した科になっているのかもしれないが、近縁の種にはオニクやナンバンギセルがある。

 これを仮に除草剤で駆除しようとしても、多くの選択性除草剤は駆除対象となるそれぞれの植物種の代謝経路に依存する場合が多いので、寄生植物のように個性的な代謝経路を持っている(あるいは当然あるべき代謝経路がない)と推定される場合には、既存の除草剤は効かないかもしれない。少なくとも、この植物には光合成装置を標的とする除草剤は効かない公算が高い。もっとも寄生植物なので宿主のマメ科牧草ごと駆除して、牧草だけ後でまき直せばよいのだが。

 寄生植物の分類といえば、分子生物学的手法で寄生植物ラフレシア(Rafflesia)のmtDNAを手がかりに系統分類をやり直したという 論文が2004年に出されている。たしか、スミレに比較的近い分類群になるという結論だったと思う。また、 PubMedで検索すると、2004年には 他にもラフレシアの系統分化に関する論文が出されていて、Rafflesialesは単系的ではない、つまり複数の起源を持つ植物種を一纏めにしてしまっていると結論している。素人にとっては、まあ、どっちでもいいのだが、そういった研究で飯が食えるというのは実にうらやましい限りである。

2005年6月 4日 (土)

大麦がモチーフ

 いささか旧聞になる。5月4日に陶器市が開催された益子町に行ってきた。道すがら大麦、小麦の畑を見かけたが、群馬、栃木、茨城県は麦どころでもある。

 益子焼は身近なものをモチーフに選んでいるようだ。mugi_tyawan この茶碗の図案も、少なくとも私には六条大麦に見える。他にも麦をモチーフにした・・・ らしい食器も10数点みかけた。その一方で、どうにもクラミドモナスchlamidoにしか見えない図案もあったが、 あれは一体何をモチーフにしたのだろうか。ひょっとして益子町では身近にクラミドモナスが・・・ いやいやそんなことはないとは思うが。でも気になる。

« 2005年5月 | トップページ | 2005年7月 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ