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2004年11月の記事

2004年11月28日 (日)

Coolな大臣確認申請書の書き方・・・って何が!?

「遺伝子組換え生物等の第二種使用等に際して、大臣確認申請が必要な場合がある。」
という文言に反応しない方は読み飛ばして下さい。この記事はおそらく、あなたには関係ありません。

文部科学省ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室の”遺伝子組換えチーム”の審査担当スタッフとして勤務して8ヶ月目が過ぎようとしている。その間に蓄積した、大臣確認申請書の記入方法のノウハウを取り纏めたので、差しさわりの無い範囲で公開する。
プリントアウトして使用する前提で書いているので、ダウンロードはこちらから。(PDFファイルです。)

なお、この資料に対する質問は、私個人にお願いします。

2004年11月22日 (月)

供与核酸の最小単位は? -あるいは法律上の「遺伝子」とは何か-

 研究二種省令では「組換え核酸」を次の様に定義している。
「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第二条第二項第一号に掲げる技術の利用により得られた核酸又はその複製物」
で、その技術は法律第二条第二項第一号を引くと
「一 細胞外において核酸を加工する技術であって主務省令で定めるもの」
とある。そこで、主務省令を引くと
「第二条 法第二条第二項第一号の主務省令で定める技術は、細胞、ウイルス又はウイロイドに核酸を移入して当該核酸を移転させ、又は複製させることを目的として細胞外において核酸を加工する技術であって、次に掲げるもの以外のものとする。
 一 細胞に移入する核酸として、次に掲げるもののみを用いて加工する技術
イ 当該細胞が由来する生物と同一の分類学上の種に属する生物の核酸
ロ 自然条件において当該細胞が由来する生物の属する分類学上の種との間で核酸を交換する種に属する生物の核酸
 二 ウイルス又はウイロイドに移入する核酸として、自然条件において当該ウイルス又はウイロイドとの間で核酸を交換するウイルス又はウイロイドの核酸のみを用いて加工する技術 」とある。
つまり、セルフクローニングとナチュラルオカレンスは除く、遺伝子組換え技術、という訳だ。しかし、「核酸」がどのようなものを指すのかは具体的に定義されていない。たとえばDNAであれば、A,T,G,Cの一塩基も核酸であるし、大腸菌全ゲノムも等しく核酸である。DNA断片のサイズに関する規定は何も無い。
 また、「組換え核酸」については、二種省令に次の様な記述がある。
「 八 ベクター 組換え核酸のうち、移入された宿主内で当該組換え核酸の全部又は一部を複製させるものをいう。
 九 供与核酸 組換え核酸のうち、ベクター以外のものをいう。」
 つまり、「組換え核酸」=「ベクター」+「供与核酸」である。
この場合、ベクターは無条件で「組換え核酸」と見做される。したがって、大腸菌にインサートの無いpUC18を導入する実験は、pUC18の構成要素が全て大腸菌に由来するものであるにもかかわらず、組換え実験になる。
 この組換え核酸の構成単位の定義の非常に興味深い点は、ベクターがその機能によって定義されて居る単位(機能単位)であるのに対して、供与核酸は「それ以外のもの」とするのみで、機能単位としては何も定義されていない点である。遺伝子組換え生物は、言ってみれば供与核酸を導入することを目的とするため、多くの場合、作成される生物の特徴は供与核酸によって強く特徴付けられるのだが、法令上の定義はこのとおりである。
 実際問題として、供与核酸を定義する必要に迫られた研究者は、何とかしなくてはいけないので、あれこれ悩むことになる。たとえば、その遺伝子の由来する生物(核酸供与体)や、その「遺伝子」の相同性を以って供与核酸を定義しようとするが、多くの場合その試みは徒労に終わる。
 では、供与核酸の構造で定義することはできないだろうか?ということで、最小単位はどうなっているか考えてみると、こちらは、一塩基が最小単位となる。

 ではいよいよ本題に入る。
 ある長さの人工DNAが供与核酸の場合、その塩基配列から核酸供与体となる生物は推定できるか?
 答えは、「推定できません」

 供与核酸が何塩基あれば核酸供与体を特定できるようになるのだろうか?現在、供与核酸が人工核酸の場合、その塩基配列と相同配列を持つ何かの生物を核酸供与体として想定することにしとている。言い換えれば、人工核酸の場合は、供与核酸の塩基配列、をたとえばblastサーチして相同であると認められる核酸供与体に由来すると見做すことにしている(どのくらいのスコアかは定義されていない)。
 しかし、たとえば1,000 bpの合成DNAの供与核酸があったとして、それを単一の供与核酸と見做すことは必ずしも合理的で無いケースもありうる。・・・というか、供与核酸が由来する生物の異なる複数の「構造単位」でできているの場合は決して少なくない。しかし、人工核酸の場合、由来する生物ごとに「構造単位」を定義して供与核酸を切り分けることは合理的な判断と言えるだろうか?あるいは、問題を言い換えると、供与核酸をどのような領域ごとに分割して、供与核酸の機能を考えるのが合理的だろうか?
 1,000 bpを1,000領域(一塩基)に分割して、すべてヒト由来、というのが詭弁であることは誰にでもわかる。しかし、10 bpずつ100領域に分割して、ヒト+マウス+イネ+ショウジョウバエで、すべて実験分類はクラス1である、というのはどうだろうか?こうすると、大抵の供与核酸は細かく分ければクラス1の生物の寄せ集めとして定義できるはずだ。 分割の単位が100 bpでは?あるいは、クラス1の何某かの生物の遺伝子とのホモロジーが最大となるように最適化した分割ならばどうだろうか?

 つまり、現行の法令は合成核酸を供与核酸とする場合に、その領域の定義・分割について合理的な基準を持っていない。
 議論を、もう少し拡大するとしよう。実は、現行の法令では、遺伝子組換え生物の拡散防止措置の決定に当たっては、どのような構造や機能を持っているかによって規制の対象となるが、その作成方法は議論の対象にはならない。言い換えれば、天然物である核酸を構造単位として構築した組換え核酸においても、それを作成する上で、どのような機能単位を結合して作ったかは問題ではないと言っているのに等しい。
 その考え方が徹底しているのであれば良いのだが、実際にはベクターの構成図を書くにしても、推定される機能に基づいた機能単位で領域を定義しなければ、何も書く事はできない。実質的には、機能単位以外に遺伝子を個々の領域に分ける汎用性のある方法は存在しないのだから。

 このように、現行法令は「組換え核酸」を定義する一方で、「遺伝子」を定義していない。このことによって「遺伝子組換え生物」についての議論が混乱を深めていくのではないかと懸念される。

2004年11月18日 (木)

安全キャビネットは安全か?

 拡散防止措置のレベルがP2以上の遺伝子組換え実験において、エアロゾルが発生する(あるいは、しやすい)場合に使用が義務付けられている”安全キャビネット”という装置がある。平成16年2月に廃止された「組換えDNA実験指針」では、その仕様や保守のための取り扱いが決められていて、たとえばP4レベルでは、
安全キャビネットの設置に際しては、定期検査、HEPAフィルターの交換、ホルムアルデヒドによる燻蒸等が安全キャビネットを移動しないで実施できるよう配慮すること。また、安全キャビネットは、設置直後、次に掲げる検査を行うとともに、年1回以上定期的にア及びイの検査を行うこと。
ア 風速・風量試験(クラスⅢを除く。)
イ HEPAフィルター性能試験
ウ 密閉度試験

とされていた。
 現行の「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(以下「遺伝子組換え生物等規制法」)の実行段階の規定にあたる「 研究開発等に係る第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を定める省令」では、P2レベルについては、

(2) エアロゾルが生じやすい操作をするときは、研究用安全キャビネットを用いることとし、当該研究用安全キャビネットについては、実験を行った日における実験の終了後に、及び遺伝子組換え生物等が付着したときは直ちに、遺伝子組換え生物等を不活化するための措置を講ずること。

あるいは、P3レベルについては、

(9) 実験室に研究用安全キャビネットが設けられていること(エアロゾルが生じ得る操作をする場合に限る)。
(10) 研究用安全キャビネットを設ける場合には、検査、ヘパフィルターの交換及び燻蒸が、当該研究用安全キャビネットを移動しないで実施することができるようにすること。

(5) エアロゾルが生じ得る操作をするときは、研究用安全キャビネットを用い、かつ、実験室に出入りをしないこととし、当該研究用安全キャビネットについては、実験を行った日における実験の終了後に、及び遺伝子組換え生物等が付着したときは直ちに、遺伝子組換え生物等を不活化するための措置を講ずること。
となっており、安全キャビネットの具体的なスペックや取り扱いについては、国は関与しておらず事業者の責任において決めることになっている。
 この点について、不安を感じる向きもあるようだ。しかし、遺伝子組換え生物等規制法の考え方は、国際的な取り決めである生物多様性条約の一部である「生物多様性条約バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」を担保することを第一目的としており、人の健康については「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第三条の規定に基づく基本的事項」のなかで第二第1「他法令の遵守に関する事項」に「遺伝子組換え生物等の使用等を行う者は、法の規定によるほか、人の健康の保護を図ることを目的とした法令等予定される使用等に関連する他法令を遵守すること。」として、規定されている。
 つまり、実験者の健康や実験を実施する施設周辺住民の健康に対する、組換え体である感染性微生物等による被害の防止については、その微生物等が特に組換え生物であることを考慮して遺伝子組換え生物等規制法で対応する必要はなく、従来の労働安全性や環境安全性に関する他法令の枠組みで処理できるとする考え方が示されている。安全キャビネットについても例外ではなく、その使用による実験従事者や周辺住民に対する安全確保は、「労働安全衛生法」や「感染症予防法」の枠組みで考慮するべき事柄である。しかしながら、圧力容器等とは異なり安全キャビネットについては労働安全衛生法以下にその運用方法等を定めた政省令等は存在しないため、事業者自らの責任において設けたルールに従って運用することになる。

 さて、遺伝子組換え実験の際の安全キャビネットによる安全確保については以上のようにまとめたところで、もう一つ問題がある。それは、「安全キャビネットとは何か?」という定義である。実は、これまで述べて来た「安全キャビネット」とは通称に過ぎない。正確には、「生物学用安全キャビネット」と呼ばれるべきものであって、これは2000年にJIS規格で改めて定義されている。それによると、最新の名称は「バイオハザード対策用クラスIIキャビネット」とされており、品名に「安全」ということで機器自体が安全を保証する印象を与えるおそれがあるとの理由で,「安全」をはずすことになった。実際にはクラスII以外のJIS規格もあることから、ここで言う安全キャビネットとは「バイオハザード対策用キャビネット」を指すものとする。

前提を固めたところで、ようやく主題に入る。
安全キャビネットは安全か?
このような一般的な問いに答えるには、まず
 1. どのような規格・能力の安全キャビネットを
 2. どのような使い方(使用する生物、保守点検)で使用するか
が明らかになっていて問題が定義できる必要がある。

そもそも安全キャビネットというものは、病原微生物一般を安全に取り扱いできるように設計されているべきものである。そのスペックについては、わが国ではJIS K 3800:2000で規定されているが、ここでは試験粒子(DOP)に対する補足性・透過性を規定しているのみで、病原微生物に対する実測値に基づいたものではない。
しかしながら、病原微生物とはいえ、常識に従えば物理法則に従うものと判断できるので、試験粒子についてのデータがあればそれを以って病原性微生物の補足性・透過性を推定することは可能であることから、JIS規格準拠の安全キャビネットの基本的な性能についてはその安全性を疑う特段の理由は無いものと考えられる。

では、それ以外のものはどうか?国立感染症研究所バイオセーフティ管理室によると、わが国で安全キャビネットが使われ始めたのは、1980年代からとされている。従って、最も古い安全キャビネットは約20年前のものということになる。当時の基準としては1976年、NSFの NSF/ANSI Standard 49(用語の理解をめぐる混乱はあったものの、現在もこの基準は見直しを受けながら生きている)が適用されていたと考えられる。この基準は、JIS規格の策定の際にも参考にされていることと思う。
当時の安全キャビネットに、製造上の規範としてそれ以外の基準を適用したものがなければ、「組換えDNA実験指針」においても、”NSF/ANSI Standard 49”を記載しても良かったのかもしれないが、NSFもASIはアメリカの規格であって国際基準ではないため、日本の制度でそれを引用するのはためらわれる。そこで、「組換えDNA実験指針」には具体的なスペックを記載したのではないかと考えられる。なお、日本のJISで安全キャビネットのスペックが始めて策定されたのは1994年であるため、「組換えDNA実験指針」に記載可能であったとして、それは平成6年以降ということになる。
現在の二種省令には、安全キャビネットの具体的なスペックは記載されていない。この点を以って、「組換えDNA実験指針」からの後退であると指摘する向きもあるが、実質的にこの20年間に作られてきた安全キャビネットについては、古いものであっても、少なくとも”NSF/ANSI Standard 49”の規格には準拠しており、この10年間のものに限ってもJIS規格には準拠しているはずである。
それらの製造規範に従っていない製品が、万が一あったとして、それを使用することで実験の安全確保に重大な問題が生ずることが証明されれば、それは二種省令の欠陥であり、行政の失策であるとの謗りを免れないだろう。しかし、現在”NSF/ANSI Standard 49”やJISのClass IIに準拠しない製品は実質的に入手困難であり、省令に詳細なスペックを規定して事業者に遵守させることは、過剰な規制である上、無意味でさえある。
# 拡散防止措置P2とP3では、使用する安全キャビネットの規格が違うのではないか、という指摘もあるかもしれない。Class Iは、拡散防止の機能についてはClass IIと違う必要はなく、無菌操作が必要ないケースでしか適用できないので、遺伝子組換え実験にはあまり向いていない。Class IIはクリーンベンチとしての機能もあるのでP2,P3いずれの拡散防止措置でも適用可能である。Class IIIは操作性にも制約が多いため、通常はP3でもあまり使われないため、適用は大臣確認実験等に限られると考えられる。Class IIIの安全キャビネットが必須のケースとしては、旧来のP4レベルに相当する大臣確認実験のように、拡散防止措置の内容がP1-P3のように予め決められたものではなく、個別に規定することになっているケースが想定される。このケースでは、拡散防止措置については遺伝子組換え技術等専門委員会で個別に審査することになるため、省令には規定していない。

次に、安全キャビネットの使い方あるいは性能維持の問題である。
JIS K 3800には現場検査の項目があり、設置後の能力試験と定期点検を行うことになっている。その運用は事業者に委ねられているが、JISの基準を満たしていない場合であって従業員や事業所の周辺住民に健康被害を与えた場合は、上記の「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第三条の規定に基づく基本的事項」のなかの第二第1「他法令の遵守に関する事項」に「遺伝子組換え生物等の使用等を行う者は、法の規定によるほか、人の健康の保護を図ることを目的とした法令等予定される使用等に関連する他法令を遵守すること。」に反しており、違法行為に問われる可能性がある。
その一方で、保守点検に関する規定が無い点については、安全管理における「未然防止」の概念に照らして考えるならば、病原性微生物の環境放出の可能性を完全には否定し得ないが、仮に病原性微生物の環境放出があったとして、それが個体あるいは社会的リスクとなる場合は、ヒト個体への感染あるいはそれに続く集団への伝播が発生する必要がある。そのためには、限られた時間内に感染が成立するのに十分な密度の病原性微生物が、感染に適した方法で、ヒト個体に接触する必要がある。
安全キャビネットで防御できる病原性微生物の拡散は、エアロゾルによるものであり、組換え実験においてエアロゾルでヒトに感染する可能性のある病原性微生物を扱う可能性は、皆無ではないとしてもごく限られている。また、安全キャビネットを使用するケースであって、そのような病原性微生物の感染が成立するほどの濃度のエアロゾルに従業員や事業所の周辺住民がさらされるような重大な事故があるとすれば、それはもはや安全キャビネットの管理の問題では無いだろう。

このように、二種省令においては、安全キャビネットの性能および保守管理については、特段の規制を設けていないがそれによって、遺伝子組換え生物の拡散防止において特段のリスクの拡大があるとは考えられない。
主題に戻るならば、「安全キャビネットは安全か?」という問いには、「それ自体は、適切な使用条件においては、安全性を確保できるように作られている。」と答えることになるだろう。

2004年11月16日 (火)

LASIK

11/14,屈折異常の矯正手術を受けた。
# あぁ、あんた屈折してて異状だもんねー、そりゃ矯正されてよかったねー、というコメントは即時却下である。
要は外科手術で近視を治療することだ。術式はIntra-LASIK(LASER Assisted in-Situ Keratomileusis )という、今のところ最新式の術式で、角膜の切開にもレーザーを使用して非接触で行うため、感染症のリスク、塵埃などが術野に紛れ込むリスクが小さくでき、角膜の切断面の形状が正しい位置で癒合しやすいため視力の回復が安定しているという特徴がある・・・ようだ。そらから、眼科医はあまり言わないことだが、角膜切開という非常にデリケートな部分を機械で完全に自動化しているので、あまり器用でない先生の執刀でも個人差が出にくい、ということはあるかもしれない(ま、医者からそんなことを言われたら不安になりますわな、普通は)。
#詳しくはIntra-LASIKなどのキーワードでGoogleで調べてね。

私は、必ずしも流行り物好きというわけではないし、車やパソコンの趣味などは保守的ですらある(とはいえ、自家用車にはカーナビが付けているし、パソコンはデスクトップマシンは家庭内無線LANでADSL接続しているし、ノートPCはVodafoneの3Gカードでインターネット接続している)。40代手前で、記憶力に自信がなくなったのでPDAを持って歩いているし、通勤途中はMP3で音楽を聴いていることもある。
持ち物の趣味からいえば、「最先端のちょっと後ろ」のポジションが好きだ。仕事は今のところ国家公務員でライフサイエンスの最先端に関わる仕事をしている。が、2年後には何をやっているかはわからない。多分、あまりに保守的な仕事にはもう戻れないだろう。

それはともかく、私が近視矯正の外科手術に興味を持ったのは、18年ほど前になる。私の実家が北海道の稚内にあって、当時、旧ソ連と日本の友好を深めるための団体「日ソ友好協会」の支部が稚内市にもあった。そのPR誌である「今日のソ連邦」に、ソ連の最新科学技術として、RK(Radial Keratomileusis)の紹介が載っていた(インターネットでも検索できた)。当時、ソ連でRKの執刀を行っていたフィヨドロフ教授が来日した際にニュースになったものだ。当時のそれは、ダイアモンド・メスで角膜に放射状の切れ目を入れて厚みを調節するもので、技術的にも難しく、最終的な視力の予測が困難で、あまり普及しなかった。その後、角膜表面を削る術式は、PRK、スーパーPRKとして進化している。LASIKという術式は、それとはルーツが違う気がする。試しに、LASIKをキーワードにPubMedで調べてみると、この10年で1906件のエントリーがある。患者にとって良い話ばかりではないのは勿論であるが、それはさておき、研究途上で新しい知見が集積されつつある技術である一方で、もはやポピュラーな技術の一つであるとも考えられる。PubMedは古い文献の検索には向かないので、文献の孫引きをしないと、オリジンにはたどり着けそうにないが、試しににやってみると無料で見られるReviewはない。仕方ないので、Googleで"LASIK+歴史"で検索すると、錦糸眼科のホームページに簡単な歴史が載っていた。やはりRKとは起源が異なるようだが、最初の技術(Keratomileusis)から起算すると40年ほどの歴史があるようだ。

LASIKに限らず近視矯正手術につき物なのは、長時間経過した後の予後の問題である。数十年後に視力が減退しないかとか、障害が出ないかとか、失明するんじゃないか、という疑問には科学的には誰も答え得ない。ただ時間だけが解決する。視力の回復程度や患者(?)の治療に対する満足度についても、統計はあるので一般的な傾向はわかる。それらは、治療した人の93%が満足している、とか90%以上が1.0以上の視力を回復している、という。しかし、これらのベネフィットに対して負うリスクを個人がどうう受け取るかは別の問題である。

多くの日本人は、ゼロ・リスクを判断の基準にする。つまり、メガネをかけ続けている限り、視力は安定しているし何のリスクも無い。その代わり、ベネフィットも得られない。近視矯正手術には、さまざまなリスクがある。現実のリスクとしては視力が回復しないか回復しても予想の水準以下の場合がある。あるいは、予測されるリスクとしては数十年後の何らかの未知の障害が出る場合。近視矯正手術を受ける人は、個人の問題としてこれらに対処しなくてはならない。

私の場合、強度近視で乱視が入っている。メガネのプラスチック・レンズ寿命は3年程度(ガラスは重いので論外)。あと、30年(10回)メガネを新調し続けるとして、そのうち3回は近視+乱視用、7回は乱視入りの遠近両用レンズであるとすると、通常のレンズ両眼で3万、遠近両用乱視入り、で4万として、35万円(3x3+7x4)である。その間フレームは4回買い換えるとして4万くらい。計40万円くらいはかかる公算である。ゼロ・リスクでもこのくらいの出費はある。
一方、LASIKで近視と乱視の矯正がほぼできて、数年は老眼鏡が要らない場合、老眼鏡のコストは中近距離用レンズは3万円で7回買うと21万円、フレームは3回買い換えて3万円とすると、24万円の出費となる。差額は16万円。

私の場合、LASIKの手術のコストは27万円とすると、純粋な出費は27-16=11万円。それに視力が回復しない場合と、予後がよくないリスクが純粋なコストである。予後については、現役の研究者として視力を維持しなくてはいけない期間はおそらく10年足らずだろうから、20年後に視力が低下していてもさして苦にはならないだろう。しかも、私はこの30年間ずーとメガネをかけて暮らしてきたので、メガネが手放せなくなったとしてもそれが特段のリスクにはならない。いずれ老眼にはなるだろうからその分も特段のリスクではない。むしろ老眼鏡が安く上がるならば歓迎である。

そう考えると、私にとって近視矯正手術は長らく非常に現実的な選択であった。ただ、地方に住んでいるとなかなか治療が受けられないし、通院も大変である。もう10年早く治療できたならと思うこともある。今回、手術に踏み切ったのは通院可能なところに、LASIKを行える眼科があったのも大きな理由である。この15年地域を転々としてきた私には、それは難しい選択であった。

LASIKは自由診療なので、今後価格競争が進むと20万円以下になるかもしれないが、安いだけの病院を選ぶのはそれなりの危険を伴うことだろう。コストの問題については、アメリカのLASIK関連のサイトを見ると良いだろう。平均で$1,710/一眼?($1=\106ならば\181,260)なので、両眼なら36万円くらい。しかも、IntraLASERを使用すると片眼あたり$250-$500(\26,500-\53,000)のコストアップなので、今や日本のLASIKは決してそれほど高価ではない。

さて私自身の視力回復までの過程を書こう。まだ、術後2日目で回復途上ではあるが、これがなかなかよく見える。
11/14(日) 本当は手術翌日の検診があるので、土曜日が理想的だったのだが、次善の策で日曜日の午後4時に手術を予約した。午後3時から手術前の再検眼、午後4時から手術、その後1時間ほど静養して再度検診と視力検査というコースである。
手術そのものは、Intra-LASERによる角膜切開の際に、ガラス板を強く押し付けるのが辛かった(強く眼球を圧迫すると一時的に視力がなくなりますが、それを片目で55秒間続けます)。切開に必要な時間は切開する角膜部分の直径にほぼ比例するのですが、私はかなり大目玉なので少々時間がかかったようだ。その後は、向かいの手術室に移動して(自分で歩きます)、 LASER照射装置の下に横たわって角膜のフラップを持ち上げられ、片目22秒ほどLASER照射を受けた(正確ではないかも知れませんが、助手の方がカウントダウンしていたのでわかりました)。開瞼器なる器具で瞼を固定されるので、瞬きする心配はなかった。LASERを照射している間は、ちょっとばかり髪の毛を焼くようなにおいがした(角質を気化させてるのだから当たり前ですが)。
#角膜って、システインが多かったのかl などと思いました。
その後よく洗浄して、フラップを器具でぺたぺた押して元の場所に戻しておしまい。あとは休養室で30分ほど休養して、再度検診。瞼の開閉がなんだか渋いなと思ったら、角膜が乾燥気味だったとか。私の場合、大目玉なので乾燥しやすいとのことで、保護用のコンタクトレンズを入れた。それから、再度視力検査をして、もう一度検診。視力検査では、裸眼視力1.0で手術当日としては、よく見えている方だとのこと。ただ、本人としては、視野に薄く白いもやがかかったようで、点状の光源の回りにはハローが見えるし、コントラストは低いしで、それほどの視力が出ているという実感はなかった。飲み薬、点眼薬、眼帯、保護用眼鏡一式を受け取って帰宅の途についた。
帰りは、外はすっかり暗くなっていた。地下鉄-バスを乗り継いで一路つくば市へ(つくば在住なもので)。バスの車窓から見た街灯はハローをまとっており、話には聞いていたがこれが続くと夜間の車の運転はあきらめた方がよさそうだと思ったものだ。クリニックからの帰途ずっとそうだったのだが、激しいドライアイで車内では40分おきくらいに抗菌剤入りの点眼薬を使っていた。1時間おきに点眼のことという指示だったが、目の乾きには代えられない。
つくば市に着いて帰宅途上の路上でも、街灯のハローがまぶしい一方で暗がりは見えず、車のヘッドライトのハローでウインカーは見えず、少々危なかしい感じをうけながら帰ってきた。帰宅時間は8時過ぎ。妻が夕飯をこしらえていてくれたのは助かった。
あとは、内服薬を飲んで、点眼薬を点して、顔をウエットティッシュで拭いて、眼帯をして就寝。翌朝が楽しみ。

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2004年11月 8日 (月)

G13型トラクター

 11/6、12ヶ月点検でディーラーに車を預けた。近くで食事をして、時間が余ったので喫茶店に寄った。暇つぶしに見たものは、ゴルゴ13の第132巻。3話目「少女サラ」(第386話)には、パリを舞台に組換え大腸菌でバイオテロをもくろむテロリストが登場する。
#ちなみに、表題の「G13型トラクター」とはゴルゴ13への仕事の依頼の方法である。新聞の三行広告にG13型トラクターの取引希望と掲載すると、スナイパーへの仕事の依頼の暗号になっているらしい。今時ならば、インターネットの掲示板に書くとかそんなところだろうか・・・。

 話の中で、いくつか気になる点があったので思いつくままにリストアップしてみる。
1. 紙片に書かれたPCR用のプライマーの塩基配列なるものが登場する。なぜか一個だけ。配列が2つないと目的遺伝子のPCRはできないよね。また、配列のGC含量は17%程度と非常に低く、反復配列を含んでおり、PCRにはおよそ不向きである。

2. コレラ菌の毒素をクローニングするとのことだが、コレラトキシンは2種類のサブユニットの組合せで構成される5量体なので、一個の遺伝子では毒性を発揮しない。二個の遺伝子が単一のオペロンを形成しているとのことだが、導入しても大腸菌で正しい立体構造をとるかどうかは・・・。

3. コレラトキシンは、それ自体は腸管の上皮細胞を殺すことでヒトに激しい下痢と嘔吐をおこさせ、脱水症状によって死に至らしめる。きちんと輸液ができる先進国であれば、脱水症状に対処できるので致死率はさして高くないはずである。致死性の毒という意味では、ボツリヌス毒素など即効性の神経毒のほうがよほど危険である。

4. 通常、遺伝子組換えに使われる大腸菌(K-12由来株、B株由来株など)は環境中での生存率は著しく低い。そもそもヒトには感染しない。この目的には、O157など腸管出血性大腸菌そのもののほうがよほど適している。ただし、O157の遺伝子組換えをするのであれば、おそらく作品中にあるようなヒートショックは使えない。他の菌株との接合で遺伝子を導入するか、ファージを使うか、エレクトロポレーションをすることになる。

5. 何かの淘汰圧がかからない状態で、プラスミドで導入した外来遺伝子を安定に保持するのは難しい。相同組換えでゲノムに組込んだ方が、より安定させることができる。さもないと、せっかく導入した毒素遺伝子が抜け落ちてしまう。

6. 大腸菌の遺伝子組換えを行うには100万フランかかる(1フラン=25円だと、2,500万円)という記述があった。PCR(安いのは30万くらい)、インキュベーター(パーソナル型なら4万くらい)、シェーカー(10万くらい)、酵素(1.5万くらい)、蛍光染色液(2万くらい)、ブラックライト(数千円)、電気泳動槽(3万くらい)、ピペット(3本で10万くらい)、etc.家庭用品ではまかなえないものを新品で買い揃えても、安いものを選べば100万円(4万フラン)でお釣りがくる。出来合いの無菌状態の培地やディスポの器具を使えば、実験スペース自体は一般の住宅でも大き目のビニール袋でほぼ無菌の状態を作れば十分やれる。

7. バイオテロによる恐怖は、ヒトからヒトへ感染する病原体であって、潜伏期間がある程度長く(数日から数週間)、致死率が高く、予防法も治療法もなく、死にざまが悲惨であるほど増大する。コレラトキシンを作る大腸菌は、これらの条件に照らして、ほとんどの点において失格である。
# 余談であるが、テロに使用可能な病原体は上記の条件のほか、容易に失活しないものでなくてはならない。紫外線や乾燥で簡単にへたるような病原体は野外に散布してもすぐに機能を失う。また、潜伏期間が短いものは、すぐに症状が顕在化するため患者の隔離が容易なので伝染しにくい。たとえば、SARSコロナウイルスなどは、異常に高い伝播力にもかかわらず、SARSについての情報が広まった後には、患者の隔離に成功した要因は発病までの期間が短かったためであろう。週刊誌などで"SARS人工ウイルス説"が取り上げられたが、あまり潜伏期間が短い病原体は兵器としても失格である。逆に、潜伏期間があまり長いもの(たとえば、死に至るまでに20年かかるような・・・)は、目的達成以前にテロリストのほうが先に死ぬか、被害者がほかの原因で死ぬ可能性が高い。

かのバイオテロを企てたテロリストは、上記のようにプランをしっかり練らない上に、貧乏な大学院生に金を渡してプラスミドを構築させていた。もし、構築させたプラスミドがきちんと機能しなかったらどうする気だったのだろう?動物実験くらいはちゃんとやらないと効果を検証できないだろうし。

事の善悪はさておき、そんな按配にプランが杜撰だから失敗したのだな・・・。仕事を依頼するなら、きちんとしたコンサルティングのできる、腕の確かな研究者に頼みましょう。

# 私?頼まれても、お断りします。 やる気があるならこんなこと書きませんって。

2004年11月 4日 (木)

科学者の咆哮

「科学者は彷徨する存在である。」
 科学者は真理を求めて彷徨する。実験室や、フィールドや、オフィスにおいて。

 あまり、咆哮はしない。
 一頃、「叫ぶ詩人の会」というバンドがあったが、科学者は一般的には叫んだり、咆哮したりはしないものである。箪笥の角に足の小指をしたたか打ち付けた場合はどうかは別として。

 それは、科学者の表現の手段が、アーティストとは大きく異なっていることによる。アーティストは、様々な手段で”表現”する。歌い、躍り、楽器を演奏し、絵を描き、写真を撮り、彫刻を作成し、詩を作り、小説を書く。しかし、従来の科学者の表現のスタイルは、至って画一的で、概してつまらない。すなわち、まともな科学者の表現の手段は、論文を書いて発表するか、学会発表を行うか、本を書くくらいのものである。これは、おそらく、科学的な検証のシステム(ピア・レビュー、あるいは同僚評価)が、紙媒体を中心としてなりたっていることと、発表の場が出版業界の刊行する既存の商業誌に限られているためであると考えられる。

 近年、PLoS biologyというインターネット上のフリージャーナルが登場している。ピアレビューつきのジャーナルではあるが、版面権を出版社に譲渡することに反感を持つ研究者たちによって始められた。遺伝子操作によってマウスの持久力を飛躍的に高めることができたという論文"Regulation of Muscle Fiber Type and Running Endurance by PPARδ"も、このジャーナルに投稿されたものだ。この論文には、なんとマウスの持久力テストの様子が動画で収録されている。これは、紙媒体の雑誌では決して実現し得なかったことだろう。CD-ROMの付録つき雑誌という方法はあるが、クリック一発で見られるインターネットの手軽さには到底かなわない。PloS biologyはインターネットというメディアの可能性と柔軟性を追求し、その表現力を余すところなく発揮した好例であると言えるだろう。

 私も、論文で主成分分析の結果をカラーの3D散布図で表現したかったがコストの関係であきらめたことがある。もし、論文の3D散布図を読者がマウスでグリグリ回転させて色々な角度から自由に眺めることができたらどんなに楽しいだろう。しかも、論文の掲載に当たっては一切の追加料金なしで!
# ・・・そんなに楽しくもないか。

 私は、普段生物学系のジャーナルしか見ないので、他の研究分野では、論文の発表形態にこのような進化があるのかどうか知らない。しかし、どのような研究分野においてもインターネットを利用することで、発表形態の多様性が増すことは間違いないだろう。その一方で、それがDigital Divideの拡大につながらないことを願わずにはいられないが。

 このような科学論文の表現形態の多様化の一方で、紙媒体ならでは、というかインターネットが逆立ちしたくらいでは到底追いつかない、印刷物のメリットを最大限生かした表現方法もある。たとえば、理化学研究所の林崎良英プロジェクトディレクターと河合純チームリーダーによるDNA bookがそれである。DNAそのものを紙媒体に印刷して読者に届けるという試みである。物質を届けることはインターネットにはできないが、生物学系の研究者は時に情報よりも道具として物質(DNA)そのものを入手したい場合も多々あるので、これは非常に画期的である。もっとも、多種類のDNAをコンタミしないように一枚の紙に自動的に印刷するには、まだ工夫の余地がありそうではあるが。

 ところで、現在のところ科学者のおもな表現手段である論文は、投稿するとお金がかかる。研究者ならば誰でも承知していることだが、一般の方はご存じない向きも多いと思うので説明する。

 科学論文の掲載されている多くの商業誌は、雑誌そのものの売り上げと広告収入のほかに、論文の原著者からの掲載料で成り立っている。一般の週刊誌や文芸誌は、記事を書くとお金がもらえるのに、論文は”掲載していただく”ためにお金を払う。これはベテランのスター研究者であろうが、アマチュアに毛の生えた程度の研究者であろうが変わらない。ある意味、採算性という点では科学雑誌は同人誌並かそれ以下である。
 学会発表もまた、招待公演でもない限りは、大会参加費を払って発表する。大会参加費は発表をしなくても払わなくてはならない点は論文とは少々趣が違うが、講演会を維持して成果を発表する場を得るためにお金を払わなくてはならない点に変わりはない。

 つまり、科学者は表現者という点では、素人芸の域を出ていないのかもしれない。やりたいことしかやらない、興味の無い人は読まなくていい、どんな論文も積んでおけばそのうち何かの役には立つかもしれない、でも給料は下さい、という態度で研究して発表する職業的科学者(ただし道楽系研究者)ならば、それもまた無理からぬ話かもしれない。また、それとは逆に、マスコミに露出し大衆に迎合する疑似科学の本を書きまくり、少なからぬ収入を得ている、あるいは市民団体と癒着して特定団体にだけ都合の良い一面的な科学的知識を披露する似非科学者もいることはいる。日常的に、科学者と接触の無い一般の人々から見ると、この両者の違いは判りにくいかもしれない。

 しかし、両者の違いを簡単に見分ける方法がある。つまり、論文を書くのが職業的科学者、そうでないのが似非科学者である。

2004年11月 3日 (水)

アレルゲン・フリー・マウス・プロジェクト

 アメリカで飼い主に対するアレルゲンを持たない猫を遺伝子組換えで開発する民間のプロジェクトがあるという。
 この話を、動物実験をする研究者に話したところ、「あ、マウスでそれができたらいいなぁ!」という話になった。実験用マウスを扱う研究者にはマウス・アレルギーが多いのだそうだ。
 とはいえ、マウスのアレルゲンってアレルギー症状のある人によって違うんじゃないだろうか?症状のある人数人の血清を使って、マウス蛋白に対してウエスタンをやってみるとわかるかもしれませんが、どうなんだろう。

 ウエスタンで蛋白が特定できたら、2-Dで展開し、末端のペプチドの配列を決めて、ゲノムの領域を特定し、あとは定法に従ってKOマウスを作成。ここで、Cre-Loxシステムをうまく使うと、作成されたKOマウスは遺伝子組換え生物にはならないケースが、実はある。
 特定遺伝子をKOする際に導入する抗生物質耐性遺伝子の両側にLoxPを配置。Creを持つTgマウスと交配し、抗生物質耐性遺伝子の抜けた個体を選抜しSibbing crossで固定する。
 この手順だと、2つあるLoxPの一方が最後までゲノムに組み込まれるが、実は、LoxPと相同な配列がマウス・ゲノムにはもともとある。
 LoxPの”ataacttcgtatagcatacattatacgaagttat”をクエリーにしてマウス・ゲノムに対してBlastすると、AC131065.Mus musculus chromosome 18, clone RP23-21J21, complete sequence. にヒットする(一塩基違ってはいるが)。このシーケンスの決定に供試されたマウスがTgでないとすると、マウス本来のゲノムに、この配列があることになる。
 だれか確かめてくれないだろうか。かりに一塩基違っていたとしても、マウス・ゲノム由来の配列がCreのターゲットとして機能するのであれば、マウス・ゲノム由来の変異型LoxPをCreのターゲットとして導入するのも良いかもしれない。
 こうして作成された、組換え”のような”マウスは、もともと自身のゲノム内にある塩基配列を追加されただけなので、セルフクローニングに当たるため、遺伝子組換え生物にはならない。従って、特定飼育区画などの特別な拡散防止措置も必要ないので、普通の実験用マウス同様、その辺で飼える。

 ナショナルバイオリソース・プロジェクトに参加されている理研の皆様、ひとつ検討されてはいかがでしょうか。きっとヒットしますよ!

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